「板バネ(板ばね)材質」

薄板・微細・精密金属加工のこだま製作所の「事例紹介」です

板バネ(板ばね)の材質】

板バネの材質には、ステンレス系、鉄系、銅系の三種類がありますが、使用する環境に合わせて、
チタン、インコネルがあります。その中でもステンレス系は、硬度によってさまざまな種類があります。

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「こだま」が、ご提供できること

  1. 板バネ(板ばね)材料販売(定尺)1枚から
  2. 寸法切断対応:寸法精度に合わせた切断方法の選択
  3. 豊富な薄板金属の在庫
  4. 金型レス・簡易金型製作、板バネ・薄板金属部品の1個~約2000個製作
  5. 製作内容に合わせた、適切な製作方法の選択
  6. 形状カットにおける短納期・高精度
  7. 曲げ加工における短納期・高精度
  8. 製品に合わせた、溶接方法の選択(溶接サイト技術情報
  9. 熱処理及び、表面処理(対応不可な場合もあります)
  10. 全国対応

※ステンレス 板バネ材の材料販売は、こちらから 
※焼入れリボン鋼の寸法カット販売は、こちらから
※りん青銅板の販売、1枚からは、こちらから

※板バネの種類は、こちらから
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板バネの材質・板厚・特性

板バネの材質には、ステンレス系、鉄系、銅系の三種類がありますが、使用環境によってチタン、インコネルを使用することがあります。ここでは、主となるステンレス系、鉄系、銅系の、材質・板厚・特性を、中心にご紹介します。

●炭素工具鋼および焼き入れリボン鋼
鉄系バネ材として、SUP材相当品として、近年使用されている材質です。バネ特性は特に高く、材料費も安価ですが、曲げ成形が必要な形状では、生材からの成形となり、成形後熱処理を行いますので、大量生産の製作方法でないと、形状精度が悪くなります。また、鉄系ですので、表面処理をしないと錆びてしまいます。板バネには、SK85(SK5)が主流に使用されています。最近では、SK5の異方性及び軟化抵抗改善鋼として、NKS80が市場に出ています。

用途:各種産業機器用板バネ・ワッシャー、クラッチ部品、ぜんまい、のこ刃、座金等

●べーナイト鋼
一般的にみがき特殊帯鋼材に、熱処理(オーステンパ処理)を行って、べーナイト組織にしたもので、硬くて、機械的性質の高い材質ですが、板バネの成形においては、リボン鋼と同じ製法になります。恒温変態処理によって高強度と同時に加工性の優れ曲げ加工、軽度の絞り加工が可能です。JIS鋼種では、S55C-CSPB、S60C-CSPB、SK5-CSPB etcとなります。

用途:各種産業機器用板バネ、クラッチ部品等

●ステンレス系バネ材
錆びに強いということで、広く使用されている材質です。バネ特性は、リボン鋼よりは低いですが、用途においては十分な反発力、復元性を持っています。曲げ加工においても、バネ材そのものを成形することができるので、特にt0.5以下では、少量製作でも精度の高い、板バネを製作することが可能です。

用途:各種精密板バネ、シム板、各種産業機器・建築・民生機器部品等

●銅系バネ材
通電性重視の、接点などに広く使用されています。薄くて小さな板バネから、微細加工まで加工性に優れた材質で、電子部品・弱電部品・電機部品には欠かせない材質です。リン青銅が広く使用されていますが、バネ特性はステンレス系に比べて低いですが、板金加工における曲げ・絞り加工性がよく、電気・熱の電導性に優れ、耐摩耗性も高い材料です。また、はんだ付けやメッキしやすい材料です。短所としては、表面酸化が生じやすいため、メッキ処理を行う必要があり、メッキ工程を省くために、耐食性に優れた洋白を使用する場合があります。通電性・バネ特性を求める板バネ・接点等では、析出硬化処理で高いバネ特性がえられるベリリウム銅が使用されています。

材質 使用用途
真鍮 電池バネ・各種端子・ハーネス端子
リン青銅 各種接点、コネクター
洋白 医療機器・眼鏡部品
ベリリュム銅 リードフレーム、電子部品用コネクター、ソケット、リレー

●チタンバネ材
強い耐食性を求められる環境で、使用される材質ですが、熱処理によって硬度を上げることができますが、バネ特性は低く板厚での補足が必要です。

用途:化学工業・電力・航空機産業・医療器具・宇宙開発設備等

●インコネル板バネ材
高温下の環境で、使用される材質ですが、熱処理によって硬度を上げることができますがバネ特性は低いです。

用途:航空機・発電用のガスタービンやバネ

耐熱性のあるバネ材について

市場には耐熱バネとしての規格はなく、耐熱温度は実験データをもとにした温度を示すもので、あくまでも目安となります。また使用する状態にも左右され、動的使用・静的使用もしくは、使用環境が酸性かアルカリ性かなどの腐食環境も耐熱性に影響を与えます。

耐熱性のあるバネ材の種類

①合金工具鋼                         

合金工具鋼のうち、熱間金型などに大量に使用される SKD 系熱間金型用鋼は高温強度が高くバネ用材料としても使用されるています。一般的な流通経路では入手できません。SKD, SKH 系工具鋼は、500~550°C の焼戻しにより析出硬化がえられ、比較的高温環境でも使用されていますが、板バネ材としては流通していませので入手困難ですのでご参考に。

②Fe基超合金

高温における酸化および腐食が少ない。これら に高温強度を付与したのが Fe基超合金で、耐熱材料としては,マルテンサイト系耐熱鋼と、Ni/Co基超合金の中間に値します。                                  

③Ni基超合金

インコネル718は、Ni基超合金の中では最も使用範囲の多い合金です。用途としては、航空機部品および発電用のガスタービン等に使用されているほか、, ファス ナーやバネとして使用されています。 インコネル750 は インコネル600 に AI, Ti および Nb を添加した材料で、Ni 含有量が多いため比較的高温まで材料特性は安定していて、発電用ガス タービンや、ボルトやバネなどに広く使用されています。

市場にある材料 使用温度(℃)
硬鋼線・ピアノ線 150
オイルテンパー線 250
ステンレス鋼線 SUS304-WPB 300
ステンレス鋼線 SUS631J1-WPC 350
インコネル600 350
インコネルX-718 650
インコネルX-750 650

板バネ材の識別は、材料では識別しにくいのでサンプルでご紹介します。

板バネ材質itabane_11924 (1).jpg
リボン鋼板バネ材
板バネ材質itabane_11924 (6).jpg
べーナイト鋼板バネ材

板バネ材質itabane_11924 (5).jpg
ステンレス板バネ材
接点端子_3981.jpg
リン青銅板バネ材(銅系)

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洋白板バネ材(銅系)
板バネ材質3.21 0166.jpg
ベリリュム銅板バネ材(銅系)

板バネ材質IMG_4911_R.jpg
チタン板バネ材
板バネ材質itabane_11924 (4).jpg
インコネル板バネ材

1)バネ(ばね)用ステンレス鋼帯(SUS-CSP)

ステンレス系の薄板・板金パーツや、ステンレス系板バネにはSUS304-CSPが最もよく利用されていますが、板バネにはバネ特性の低い順に1/2H,3/4H,Hと一般的には、3段階で、用途に応じて使用されています。

シムに使用する材料としてもSUS304-CSPが一般的で、2B材に対し材料費はある程度高くなりますが、板厚精度が高いことから、ご指定の無い場合弊社ではCSP材を使用しています。
また、SUS304 CSPよりさらに高いバネ特を要する板バネには、SUS301 CSPを使用しています。
SUS301もSUS304と同じくバネ特性は一般的に3段階で用途に応じて利用されています。

▼表1、SUSバネ材標準板厚表(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります)

SUSバネ材の標準板厚(JIS G 4313)
材質 SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS420J2-CSP・SUS631-CSP・SUS631J1-CSP
板厚 mm 0.10、0.12、0.15、0.20、0.25、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.6、・0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.40、1.50

▼表2、JIS G 4313 バネ用ステンレス鋼帯の板厚寸法公差表

SUSバネ材板厚公差(JIS G 4313の厚さの許容差)単位mm
SUS301-CSP・SUS304-CSP・SUS420J2-CSP・SUS631-CSP・SUS631J1-CSP
板厚 mm 材料幅(250以上600未満)
0.10以上 0.16未満 ±0.020
0.16以上 0.25未満 ±0.030
0.25以上 0.40未満 ±0.035
0.40以上 0.60未満 ±0.040
0.60以上 0.80未満 ±0.045
0.80以上 1.00未満 ±0.050
1.00以上 1.25未満 ±0.050
1.25以上 1.60以下 ±0.060

▼表3、バネ用ステンレス鋼帯の性質

種類の記号 調質記号 硬度(Hv) 引張強さ(N/㎜2 伸び(%)
SUS301CSP 1/2H 310以上 930以上 10%以上
3/4H 370以上 1130以上 5%以上
H 430以上 1320以上
EH 490以上 1570以上
SUS304CSP 1/2H 250以上 780以上 6%以上
3/4H 310以上 930以上 3%以上
H 370以上 1130以上
NSS431 DP-2 340~400 1200(参考値) 9%(参考値)
SUS420J2 0 210以下
析出硬化系 熱処理後硬さ(Hv)
NSSHT1770 280以上 450以上
SUS631CSP 0 200以下 1030以下 345以上
1/2H 350以上 1080以上 380以上
3/4H 400以上 1180以上 450以上
H 450以上 1420以上 530以上


2)バネ(ばね)冷間圧延鋼帯<SK材と熱処理材(焼き入れリボン鋼)>

鉄系板バネとしてはSUP材となりますが、薄板バネ材としては入手困難な板厚もありますので、弊社ではお客様ご承諾の上、類似材として曲げ成形の多い板バネにはSK材(生材)を使用し、成形後焼き入れ焼き戻しの処理を行い、主に平板の形状カットのみの板バネには焼き入れリボ鋼をよく使用しています。

Sk材とはバネ用炭素鋼帯の一種で、焼入れリボン鋼とはバネ用炭素鋼帯に熱処理(焼入れ焼戻し)を施して製造される焼入鋼帯で、主に薄板バネや、ゼンマイバネ、刃物に使用されています。

▼表3、バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯の標準板厚表
(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります)

磨き焼き入れリボン鋼の標準板厚
材質 ばね用冷間圧延鋼帯(SK材)を焼き入れしたもの
板厚mm 0.10、0.13、0.15、0.18、0.20、0.23、0.25、0.28、0.30、0.33、0.35、0.40、0.45、0.50、0.6、0.70、0.80、0.90、1.00、1.20、1.40、1.50、1.6、2.0、2.5、3.0

▼表4、JIS G 3311バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯板厚寸法公差表

SK4,SK5
板厚mm 材料幅200mm以上 材料幅200mm以上500mm未満
0.10未満 ±0.012 -
0.10以上 0.15未満 ±0.015 -
0.15以上 0.25未満 ±0.020 ±0.025
0.25以上 0.40未満 ±0.025 ±0.035
0.40以上 0.60未満 ±0.035 ±0.040
0.60以上 0.90未満 ±0.045 ±0.055
0.90以上 1.20未満 ±0.055 ±0.070
1.20以上 1.60未満 ±0.070 ±0.080
1.60以上 2.10未満 ±0.075 ±0.090
2.10以上 3.00未満 ±0.080 ±0.090

▼表5、バネ(ばね)用冷間圧延鋼帯の調質と硬さ(HV)

種類の記号 焼きなましをしたもの 冷間圧延をしたもの 焼き入れ焼き戻しをしたもの
SK5-CSP 190以下 230~270 350~500
SK4-CSP 200以下 230~270 400~600

3)銅・銅合金・銅合金バネ材

1.りん青銅・バネ用リン青銅板(C5191P・C5210P等)
市場の通電性重視の製品にはC5191がよく利用されていますが、バネ性を要する接点・端子・板バネ製等にはC5210が利用されています。
2.ベリリウム銅板(C1720P等)
リン青銅バネ材より高性能なバネ特性を必要とする場合C1720P(バネ用ベリリウム銅)がよく利用されています。また、用途としては、携帯電話部品を始め、ブラシ、コネクタ、接点、電気機器用薄板バネ部品などによく用いられます。種類により、銅と比較して20~60%もの電導性をもっています。
3.洋白(C7521,C7701) 
洋白(C7521)は耐食性に富みシールドケースなどに利用され、優れた強度とバネ特性(C7701)から電気機器材料として用いられています。また銀白色の美しさから装飾用等にも広く用いられています。

▼表6―1.2.3.4、銅・銅合金・銅合金板バネ標準板厚表
(メーカーの自主基準であり、流通で一般入手できない板厚もあります。)

バネ用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の標準板厚
材質 C1720、C1700、C7701,C7521,C5210,C5191
板厚 mm 0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.35、 0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0

真鍮
材質 C2801
板厚 mm 0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1、1.2、1.4、1.5、1.6、2、2.3、2.5、2.6、3、3.2、3.5、4、5、6、8、10

タフピッチ銅
材質 C1100
板厚 mm 0.1、 0.15、 0.2、 0.25、 0.3、0.4、 0.45、 0.5、 0.6、 0.7、 0.8、1.0、 1.2、 1.4、 1.5、 1.6、 1.8、 2.0

無酸素銅
材質 C1020
板厚mm 0.3、 0.4、 0.5、 0.6、 0.8、1.0、 1.2、1.5、 1.6、2.0

▼表7 ばね用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の板厚寸法公差表

板厚mm 材料幅200以下
C1700,C1720
材料幅400以下
C5210,C7701
0.05以上 0.08以下 ±0.005
0.08を越え 0.15以下 ±0.008
0.15を越え 0.25以下 ±0.013
0.25を越え 0.4以下 ±0.018
0.4を越え 0.55以下 ±0.020
0.55を越え 0.7以下 ±0.025
0.7を越え 0.9以下 ±0.030
0.9を越え 1.2以下 ±0.035
1.2を越え 1.5以下 ±0.045
1.5を越え 2以下 ±0.050

▼表8、ばね用ベリリウム銅,リン青銅、及び洋白の性質

種類の記号 調質記号 硬度(Hv) 引張強さ
(N/㎜2)
伸び(%)
C5191(りん青銅2種) 1/2H 150~205 490~610 20%以上
H 180~230 590以上 8%以上
C5210(バネ用りん青銅) 1/2H 140~205 470~610 27%以上
H 185~235 590以上 20%以上
C7521(洋白2種) 1/2H 120~180 440~570 5%以上
H 150~210 540~640 3%以上
C7701(バネ用洋白) 1/2H 150~210 540~655 8%以上
H 180~240 630~735 4%以上
C1700(ベリリューム銅)
時効効果処理後
1/4H 330~410 1100以上 2%以上
H 360~430 1230以上 -
C1720(ベリリューム銅)
時効効果処理後
1/2H 345~430 1180以上 2%以上
H 380~450 1270以上 -

JISで使用されている板バネ材の識別

記号

定義

用途

O
焼きなましを行ったもので、冷間加工性がゼロのもので、深い絞り加工や冷間鍛造を適しているが、引っ張り強さの値が最も低い ダイヤフラム、ベロー等
1/8H 引っ張り強さがOと1/4Hの中間として、加工硬化したもの
1/4H 引っ張り強さが1/8Hと1/2Hの中間として、加工硬化したもので絞り加工に適している ヒューズクリップ等
1/2H 引っ張り強さが1/4Hと3/4Hの中間として、加工硬化したもの打ち抜き性がよく曲げ加工が必要で、ある程度材料強度が必要なもの適している ヒューズクリップ、リードフレーム、コネクター、リード端子等
3/4H 引っ張り強さが1/2HとHの中間として、加工硬化したもの H材では、曲げ加工困難な場合に使用
H 引っ張り強さが3/4HとEHの中間として、加工硬化したもの ヒューズクリップ、リードフレーム、コネクター、リード端子、スイッチ
EH
引っ張り強さがHとSHの中間として、加工硬化したもの スイッチ、リレー、皿バネ、ブレード等
SH
引っ張り強さが最大になるように熱処理を行ったもの リレー等

H:ハードの略、EH:エクストラハード、SH:スーパーハード

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